売上20億円増に匹敵? 「調達の見直し」だけで年間1億円の利益を生み出した実話

序章:利益改善の盲点はどこにあるのか


経営者が「利益を増やしたい」と考えるとき、多くの人は売上拡大を真っ先に思い浮かべます。

新しい顧客を開拓する、新規市場に参入する、販売チャネルを増やす──そうした努力は確かに必要です。

しかし、私は商社時代の経験を通じて、別の現実を痛感し、こう考えるようになりました。

▶ 売上を1億円増やすよりも、仕入れを1億円減らす方が、企業が主導的に取り組める改善策になる。
売上拡大は外部要因が大きく、コスト改善は内部から効率的に取り組める。

そして、調達ルートを見直しただけで、実際に年間で億単位のコスト改善を目の当たりにしました。

本稿では、その体験が「調達が経営にどれだけのインパクトを与えるか」を示す具体例としてお伝えします。

第一章:ゼロから始まった取引先開拓


当時、私がターゲットにして飛び込みから開拓したのは、国内のある中堅規模製造メーカー(売上規模が数百億円クラス)”でした。
その企業は長年同じ調達ルートを使い続けており、原材料コストが高止まりしていました。

私は最初のアプローチから接点をつくり、関係者に話を聞く中で、調達面での不満が根強いことを把握しました。

「このままでは競争力を維持できない」という現場の声を受け、私は新しい供給元の探索を始めました。

第二章:新興国メーカーの発掘と導入


そこで、日本市場ではあまり知られていなかった海外新興国のサプライヤーに目をつけました。
品質規格や輸出実績を調べると、十分に日本市場で通用するポテンシャルがありました。

最初は顧客でも「本当に大丈夫か?」と疑問視されました。
しかし、現地情報の裏付けやサンプル評価を経て、最終的に調達先として採用されました。

▶ここで重要なのは、特別な魔法を使ったわけではないということです。

「視野を広げ、従来とは違うルートを試す」という、シンプルな行動の積み重ねでした。

第三章:数字が示す調達改善の威力


調達ルートを見直したことで、原材料1kgあたりのコストが大幅に改善されました。
既存ルートとの価格差のみで、年間で1億円規模のコスト削減が実現。
取引量は年間で100トン前後クラス。
その結果、年間で1億円を超える削減効果が出ることもありました。

この改善は単なる「一時的な値下げ交渉」ではありません。

▶調達の仕組みそのものを変えたことによる恒常的な効果だったのです。

第四章:10年続いた累計効果


この新しい調達ルートは、短期的な成功に終わりませんでした。

その後、10年間にわたって継続的に利用され、結果として累計で約10億円のコスト改善がもたらされました。
たとえば、営業利益率を5%と仮定すると、累計二桁億円の改善効果は、数百億円の売上増加に匹敵します。

経営的に見れば、これは新工場の建設資金や新規事業投資に相当する規模です。

第五章:商社マージンの実態


私は当時、商社として海外サプライヤーとお客様である国内製造メーカーとの間に入っていました。

物流や在庫、為替リスクを担うのが商社の役割ですが、その代償として1kgあたり数百円程度のマージンが発生するケースもあります。

この場合、年間で100トンを扱えば、それだけで数千万円〜億単位のコストです。

もしこの国内メーカーが自ら直接調達できていれば、商社マージン分も上乗せでコスト削減でき、その分が利益になっていたかもしれません。

▶実はこれ、商社依存により見失っている利益かもしれません。

第六章:なぜ調達は軽視されがちなのか?


多くの企業は、調達を「守りの仕事」と捉えています。
営業やマーケティングのように華やかではなく、コスト削減という地味な役割に見えるからです。

その結果、

  • 従来ルートを使い続ける安心感
  • 商社に任せきりの慣習
  • 「調達は変えられない」という思い込み

こうした要因が積み重なり、実は大きな改善余地を放置したままになっているのです。

商社に任せることが“当たり前”になり、調達コストが常態化してしまう。
すると、企業は本来改善できたはずの部分に気づけなくなり、結果として意識外の損失を抱え続けるのです。

第七章:営業努力との比較


仮にこの国内製造メーカーが、営業活動で1億円の利益を増やそうとすればどうなるでしょうか。

営業利益率を5%と仮定すると、売上を20億円伸ばす必要があります。
新規顧客の獲得、人員強化、宣伝広告費…その負担は計り知れません。

一方で、調達改善なら「仕入れ先を変えるだけ」で、同じ1億円の効果を得られる場合もあるのです。

▶ この差こそ、調達が“攻めの経営戦略”である証拠です。

第八章:私が得た教訓


この経験から私が学んだのは、

  • 調達は経営の急所である
  • 商社依存が利益構造を蝕むケースもある
  • 調達改善の余地は必ず存在する

ということでした。

調達は単なるコスト削減ではなく、企業の競争力と未来を左右する戦略領域です。

結論:今こそ調達を見直すべき


私の体験は特別なものではありません。
多くの企業にも、規模の差はあれど、同じ構造的な課題が存在します。

だからこそ、この記事を読んでいる経営者や実務担当者に問いかけたいのです。

▶御社の調達ルートは本当に最適化されていますか?
▶商社に任せきりで、見えないところで億単位の利益を失っていませんか?

調達は「守り」ではなく「攻め」。
利益改善の最大のチャンスは、あなたの足元に眠っています。

まとめ


「調達改善で得られる利益なんて、せいぜいわずかだろう」と思われる方もいらっしゃるかもわかりません。
しかし実際には、年間で億単位規模の利益を“意識外”に失っているケースもあるのです。

国内調達に頼るだけでは、こうした改善余地に気づけないケースもあります。
だからこそ、海外直接調達という選択肢が、経営に新しい可能性を与えるのです。



「海外からの直接調達なんて、自社にはハードルが高すぎる」 そう思われたかもしれません。
しかし、今回ご紹介した事例の企業様も、最初は同じ不安を抱えていました。

必要なのは、特別な語学力でも、強大な資金力でもありません。
「今の調達ルートが本当に正解なのか?」という、ほんの少しの疑問と行動だけです。

TRADE EASY は、その「最初の行動」を支えるために存在します。
商社任せにしていたマージンを、御社の「攻めの原資」に変えるために。
まずは、現状のコスト構造にどれだけの改善余地があるか、一緒に確認することから始めてみませんか?

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